公益社団法人全国シルバー人材センター事業協会「月刊シルバー人材センター」 2019.11月号 特集“女性活躍推進の最新事例”に女性部会が掲載されました。

以下にその全文を掲載します。

女性部会が会員に贈る記念品の企画・製作を一手に担う

公益社団法人 北名古屋市シルバー人材センター(愛知県)

平成21年度に発足した女性部会は、女性会員の交流を主な目的として月2回集まり小物作りを続け、イベントなどで販売している。少しずつ参加会員が増えて、現在は24人。製作技術も向上し、6年前から「シルバーの日」の活動に出席した会員に贈る記念品の製作を任されている。この仕事だけで500個前後を仕上げることから、女性部会の一大就業となっている。

北名古屋市は愛知県の北西部に位置し、南は名古屋市に隣接。ほぼ全域が名古屋市の中心部から10㎞圏内にある。

市内には名鉄犬山線や地下鉄が通り、名古屋駅とは10数分で結ばれている。また、名神高速道路などが走るほか、県営名古屋空港へも近く、交通利便性の高い地域であることが大きな特徴である。人口は約8万6千人。

センターの概要

北名古屋市SCは、行政合併に伴い、平成18年4月1日、西春町と師勝町の両センターが統合し、現在の組織となった。

平成30年度の会員数は737人で、前年度より18人増加している。全会員に「会員紹介カード」を配布して「新会員一人確保」運動を展開したことや、ゴールド会員制度を新設したことなどが功を奏したようだ。

同年度の契約金額は、約3億5,336万円(労働者派遣事業約1,721万円を含む)となっている。

全体の4割超が女性会員

平成30年度の男女別会員数は、男性412人、女性325人で、女性会員比率は約44.1%。全国平均は約33.4%なので、平均よりかなり高いと言える。

その要因として、後述する女性部会の活動があることが挙げられるが、もう一つ、女性に適した就業を比較的多く受注しているということも影響しているようだ。

女性会員の主な就業は、自動車関連製品の仕上げ(カバーを折り畳むなどの作業を事務所から請負で受注)、公共施設や企業社屋内の清掃、市と連携して取り組んでいる高齢者生活支援の就業、独自事業の「喫茶あけぼの」での就業等である。これらに加えて現在は、労働者派遣事業で学童保育などの仕事に女性会員が就いている。

女性会員の就業が拡大

今回は、平成21年度に発足した女性部会について紹介する。

同部会の目的は、女性会員の交流の場をつくることや、高齢者福祉の増進、地域社会への貢献である。発足当時、女性理事4人が発起人となって、定期的に活動を継続し、令和元年8月現在、部会員は24人に増加。年齢層は、60~80代と幅広い。

通常の活動は、市高齢者活動センター「ふれあいの家」で毎月2回(第2・4金曜日)、布や毛糸などを使った手芸小物を作ること。寄付された布やビーズ、毛糸などを材料として有効活用し、主に布草履、帽子、ブローチ、ペットボトルカバー、手提げ袋、マフラー、アームカバー、小袋、ポケットティッシュカバー、エコたわし、干支置物を製作している。

毎年11月開催の「商工祭」(市商工会主催)と「ふれあいフェスタ」(市主催)に出店して、小物作り体験などを通じて市民と触れ合い、センターをPRしながら販売している。また、「ふれあいの家」でのイベント時のほか、センター本部と喫茶あけぼのでは常設販売をしている。

さらに現在は、毎年10月にセンターと会員互助会が連携して開催する「シルバーの日式典・会員互助会フェスティバル」と、6月の定時総会において、出席会員と受賞者へ送る記念品の製作を任され、企画から材料の調達、製作までの一連の仕事を女性部会が担当している。

「商工祭」や「ふれあいフェスタ」で、女性部会が製作した商品を販売。

「ふれあいフェスタ」では、小物作り体験コーナーを設置した

記念品の製作を担う

「シルバーの日式典・会員互助会フェスティバル」などで出席会員に配布する記念品は、毎年500個前後という膨大な数を製作する。

この仕事を女性部会で担うようになったのは、平成25年度から。女性部会の発足以降、会員を増やしながら小物作りの経験を重ね、イベントなどでの売り上げがアップ。リピーターが増えたり、注文が入ったりするようになった。技術も年々向上していることを踏まえて、女性会員の就業機会の拡大となることから一任された。そして、製作した記念品の評判が良いことから、毎年任されている。

平成29年度には会員互助会が発足し、翌年度からは会員互助会からも製作を頼まれるようになった。

「シルバーの日式典・会員互助会フェスティバル」の記念品は2種類で、受賞者への記念品は毎年エコバッグと決めている。出席会員への記念品は毎年異なり、平成25年度から順にアームカバー、ランチョンマット、巾着小袋、エコバッグ(小)、鍋つかみ、ティッシュカバーを作った。令和元年度は、携帯電話などを入れられるポーチを製作した。

女性部会ではこれらの企画から試作品作り、材料の調達、製作までを担い、約3か月前から準備を始める。平成30年度「シルバーの日式典・会員互助会フェスティバル」では、受賞者記念品33個、出席会員記念品450個を作った。製作は女性部会全員で取り組み、裁断や縫製、アイロンがけなど各自が得意分野を担当し、進めていく。

記念品製作のために「ふれあいの家」で作業していた女性部会の皆さん。

令和元年度「シルバーの日式典・会員互助会フェスティバル」で贈る記念品製作のための試作品

写真左から、女性部会の渡辺春代部会長と川越壽子副部会長

女性部会の渡辺春代部会長は、「和気あいあいとした雰囲気の中で活動していますが、商品の仕上がりを確認する担当者を決めて、厳しくチェックしています」と製作の現場を説明する。見学させてもらうと、大広間に並べた机や畳の上で布を裁断したり、縫製をしたりと、それぞれの作業に打ち込んでいる。プロ並みの縫製技術を持つ人や長年メーカーで経験を積んだ人、手芸が大好きな人など、さまざまな経験や思いを持ち寄った会員が集まっているという。昼食の時間には持参した弁当を広げ、しばしおしゃべりも楽しんでいた。

記念品製作を含めて、平成30年度の女性部会の配分金は過去最高の水準となった。配分金は、活動の出席状況と個別に製作・販売した商品の売り上げに応じて計算する。

女性部会の会計を担当する川越壽子副部会長は、「会計は責任が重く大変ですが、配分金明細書を見る皆さんの表情が明るくなるのを目にすると、間違いのないように配分しなければと気持ちを引き締めています。これからも楽しく活動して、皆さんの生きがいになる女性部会であるといいなと思います。また、女性部会の仕事は私のやりがいにもなっていますので、今後もしっかり努めたいと思います」とにこやかに話した。

事務局に支えられて

「シルバーの日式典・会員互助会フェスティバル」は、センターと会員互助会合同の一大イベント。式典で会員の表彰などを行った後、互助会の各クラブの作品展示、芸能発表、市民の参加も対象にした歌謡ショーなどを開催する。

会場ロビーでは、女性部会や木工部会、ふれあい農園部会の商品や喫茶あけぼののコーヒーなどを販売し、大いににぎわう。

こうしたイベントでの活動は、女性部会ではその都度参加できる会員が交替で担当している。

また、女性部会では年2回、記念品製作を終えた頃とクリスマスの時期に、自費でランチ会を開いている。「普段は黙々と作業している時間が長いので、この会を全員が楽しみにしています」と渡辺部会長が話してくれた。

渡辺部会長と川越副部会長は、センター入会後は自動車関連製品を仕上げる作業に就いて、今は理事となり女性部会の仕事も担っている。2、3年前から記念品製作の布の仕入れを2人で担当し、生地を安く仕入れるために電車で奔走していたが、平成30年度から大野紀夫事務局長が車で同行し、仕入れ作業を支えている。

女性部会をサポートする森川洋子総務・経理主幹は「女性部会は技術とともに会自体も年々成長し、女性会員拡大の力になるなど、センターにとってなくてはならない存在になっています。事務局としては活動を見守り、支援できるところは引き続き行って、女性会員の拡大に力を入れていきたいと思っています」と女性部会を高く評価し、今後を語った。

渡辺部会長は、「困り事は森川主幹に相談できます。事務局の支えを受けられるという安心感があり、センターの活動だからこそ、自分たちだけではできないことが実現できていると感じます。この先も部会の参加会員を増やして、記念品などの注文を継続してもらえるよう、良い製品を作り、部会を充実させていきたい。記念品製作は時間に追われてしまうこともありますが、仕上がりの瞬間は協力して頑張って良かったという喜びが得られます。ぜひ、多くの会員に参加してほしいと思います」と生き生きと語った。

「シルバーの日式典・会員互助会フェスティバル」では、会場ロビーで販売を行った。

女性部会総会も開催

新しくセンターの会員になった女性には、まず女性部会の活動を見学してもらい、やってみたいと思えば誰でも参加することができる。女性部会には、部会長・副部会長を含めて5人の役員がいて、活動日ごとに1日を振り返り、課題があれば話し合う体制ができている。平成25年度から、女性部会独自の総会も開催している。

仲良く楽しく活動することを大切にして、今後もきめ細かく会を運営し、就業に励みながら親睦を図っていきたいと渡辺部会長、川越副部会長が笑顔で語った。

(増山美智子)

取材日に、記念品製作のために「ふれあいの家」で作業をしていた女性部会の皆さん。

事業運営状況

※受注件数、就業延人員、契約金額は請負・委任と労働者派遣事業を合計した数値

※就業実人員は平成29年度まで請負・委任、30年度は請負・委任と労働者派遣事業が対象